小久保さんのこと

                    小久保桃江 〈こくぼとうこう 明治35年(1902年)~ 平成18年(2006年)

                  岡山県生まれ、日本大学卒業、26歳ごろより桃太郎研究・桃太郎運動を始める。


在野の桃太郎研究家「小久保桃江」は、戦前から東京都江東区で子どもの健全育成活動を始め、子どもに幸福をやさしく説く方法を探し続けついに桃太郎のお話が最適であることにたどり着きました。

桃太郎は健康、猿は知恵、犬は仁徳、雉は勇気、きびだんごは富を象徴して五つが揃えば人は幸福になると説いています。

平成2年(1990年)日本桃太郎の会を設立。自宅に桃太郎資料館を開設し一般に公開していました。(資料館所蔵資料は没後、生誕の地岡山の親族に託され、2021年大月市の個人が譲り受けた)

平成9年(1997年)全国の桃太郎関係団体を集め第1回桃太郎サミットを開催。

平成18年(2006年)、104歳の生涯を閉じるまで桃太郎運動一筋の人生を貫かれました。

その思想や所蔵資料、著書はしばしば桃太郎研究論文、学術書などに引用されています。

著作

「福祉の原点と桃太郎の研究」 講談社出版サービスセンター 1977年9月発行

「童話三国志」 講談社出版サービスセンター 1988年4月発行

「桃太郎主義幸福論」 講談社出版サービスセンター 1990年8月発行

「桃太郎を世界へ」 瑞木書房 2004年7月発行



小久保さんは以前から全国の桃太郎の組織をまとめたいと念願していましたが願いがかなう前に逝ってしまいました。

その遺志をを継いで現事務局長の伊藤さんらが中心になり、ついに平成20年(2008年)に開催された第9回桃太郎サミット日本ライン大会の席上「日本桃太郎会連合会」設立が宣言されました。


 

小久保桃江と桃太郎の研究

ー「桃太郎主義幸福論」と大日本桃太郎少年団の活動を中心にー

 

加原 奈穂子 著

 岡山民俗 第243号 抜刷

2022年12月31日 岡山民俗学会発行

 

日本桃太郎の会設立以前の桃太郎にたどり着くまでの事をまとめた論文。

 

2006年に104歳で亡くなられ、今なぜ小久保さんの桃太郎なのか。

加原さんの結び。

「小久保の試みは時代の変転の中で変わることなく、

これほど人びとの心を惹きつけたのだろうか。

それは小久保が桃太郎を単に消費するのではなく、

桃太郎を通して人間の幸福の原点という普遍的な価値を求め、

人びとのためにそれを実現すべく懸命に働いてきたからではないだろうか。」